かくして、「組み分けテスト」当日を迎えた。
テストの時間は夕方からだったため、昼の習い事を休まずに行こうと決めていた。
しかしながら、組み分けテスト当日にして、怖気づいた息子は
「習い事休む。ボク、勉強したい!」と言い出したのだ。通常の私なら、
「あ~ら、奥様、タクの息子ったら、勉強好きで困っているんですのよ。アタクシが『遊びなさい]』って何度言っても、一人で勝手に勉強しちゃってるんザマスよ。
オーホッホッホッ・・・。」
とスネ夫ママのように、ご近所様に自慢を始めるところだ。
しかし、その日の私は
「そこまでする必要ある?出来なかったら、その時はその時よ。」
と直前にほんの少し勉強したくらいで気が大きくなっていた。(全くの勘違い!)
「大丈夫、大丈夫。ほら、先生も4年生は習い事と両立して、時間を上手く使ってくださいって言ってたじゃない?それに、休んだらお金もったいないじゃない? 一回休んだら、〇円損をするわけで…」
とせこさ丸出しの理由を持ち出し、渋る息子を習い事へ送り出した。
行く前はブーブー文句言ってた息子だったが、帰ってくると
「あー気分転換できたー!行ってよかった!」
と言っていたので、すかさず、
「ね? そうでしょ、そうでしょ!」
と便乗し、「私の狙いは最初から『気分転換』だったのよ」と言わんばかりに満足げに微笑んでみせた。
試験までもうあまり時間がなく、少し休憩して、すぐに家を出た。
家を出る前に何度も持ち物を確認した。
駅に着くと、組み分け試験を受けると見られる親子連れて溢れていた。
何かみんな賢そうに見える・・・。
途端に緊張感が高まり、
「ボク、緊張してきた・・・。」
「お、お母さんも・・・。」
チキン親子はお互いに汗をかいた手をギュッと握りしめ、会場まで進んでいった。
会場前には拡声器を持った人が何人かおり、入口に人が溜まらないように人員整理を行っていた。入口で立ち止まることが出来なかったため、最後に大した声掛けも出来ず、息子は建物の中へ消えていった。
「大丈夫かなぁ・・・。」
そう呟きながら、とぼとぼと会場を離れ、時間がつぶせそうな喫茶店を探すことにした。
(つづく・・・)